化学物質MOCA(モカ)による健康障害の防止対策について

厚生労働省は、本日、(一社)日本化学工業協会や化成品工業協会など計4団体に対して、「3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン」(MOCA)ついて、1 法令に基づくばく露防止措置等の徹底、2 膀胱がんに関する検査の実施などを要請しました。

MOCAは、防水材、床材や全天候型舗装材などに利用されるウレタン樹脂の「硬化剤」で、従来から「特定化学物質障害予防規則」の「特定第2類物質」及び「特別管理物質」とされています。
MOCAを取り扱う事業者は、作業環境測定の実施、局所排気装置等の設置、健康診断の実施等が義務付けられていますが、健康診断には膀胱がんに関する項目は含まれていません。

平成27年12月に明らかになった福井県の膀胱がん事案を契機として、オルト-トルイジンを取り扱ったことのある全国の事業場について、労働局・労働基準監督署が調査等を行ったところ、オルト-トルイジンを過去に取り扱っていた別の事業場の、労働者1名、退職者6名の計7名に膀胱がんが認められました。また、この7名には、オルト-トルイジンの取扱歴がない方も含まれていました。このため、所轄の労働局・労働基準監督署や独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所(以下「安衛研」という)が、原因究明のため、さらなる調査を行いました。

現時点までの調査で、この7名のうち、5名について、MOCAの取扱歴があることが分かりました。(なお、この事業場では、平成22年以降、MOCAの取扱作業はありません。安衛研では、引き続き、原因究明のための調査を実施しています)

厚生労働省では、今回の団体あての要請とともに、緊急対応として、MOCAを取り扱ったことのある各事業場に対しても、健康障害の防止対策の徹底が図られるよう、労働局・労働基準監督署による調査・指導を実施します。また、MOCAに関する特殊 健康診断項目の見直しについては、専門家からなる検討会において、現在検討を進めています。

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